やきとり屋の孫
祖母はお稲荷さんの門前で焼き鳥屋を営んでいた。
カウンターとお座敷がひとつの小さな焼き鳥屋。 祖父は戦争に行き、、帰らぬ人となっていたので 祖母は伯母、伯父、母、叔母の4人をその営みで育てた。 僕が小学生のころはよく祖母のところに遊びに行った。 お昼ごろに行くと、彼女はいつも 仕込みをしていた。 なぜだか分らないけど、その仕込みを見ている僕の記憶は冬のものしかない。 問屋から買ってきた冷凍になっているいくつもの雀を石油ストーブの上に乗せて溶かし、 一羽づつ、丁寧に羽をむしり、そして竹串にさしていく。 鶏のモモ肉を一口大に切って、ねぎもまた一口大に切り、 肉とねぎを交互に竹串にさしていく。 ぼくも、何度かその 仕込み を手伝ったのだと思う。 ステンレスのトレイに自分が刺した串を一本、一本並べたような記憶がある。 一年に数回、父が僕をお店に連れて行ってくれた。 パチンコの好きな父は僕をお店に残して 自分はとっとと向かいのパチンコ屋に消えていった。 お店には店の外に向かって 焼き鳥を焼く、ガスコンロが置いてあった。 祖母はカウンターのなかでテキパキと働いていた。 お店に入ると、いつも同じ匂いがした。 ビールの匂い、そして、タレの焼ける香ばしい匂い。。 想い出の匂いは、今でも鼻の奥のほうに残っている。 僕は祖母の焼き鳥が大好きだった。 それは、祖母が作った 秘伝のタレ が本当においしかったから。 塩で焼いた焼き鳥など 彼女の店 では食べたことがない。 僕が中学生の時、祖母は亡くなり、そして 門前の焼き鳥屋は他人の手に渡った。 でも、彼女の秘伝のタレは、それからもずっと 伯母が作り、母が作り、、 そして、今は 僕が、僕のWIFEが作り続けている。 去年、WIFEたちがLVに来てくれた時 彼女が作ったタレをハンドキャリーして持ってきてくれた。 :::::-) 今日、友人がパーティーに招待してくれた。 季節も良いから、ジャグジーでBEERを飲もう。。と。 そうだ、、、いつも美味しいものをご馳走してくれる友人に今日はひとつお返しをしよう。 彼のような料理のプロに持っていけるのは、、、これしかない。 僕は、明るいキッチンで 仕込み を始めた。 カワ 正肉 こちらのモモ肉は骨があるので、仕込みは少しばかり時間がかかった。 本当は炭火で焼くのがいいのだけど、、 オーブンで下焼き。 そして、試食 ああっ 本当に美味しいな。 やっぱ焼き鳥屋になろうかな。
by lasvegasmasa
| 2005-03-14 08:21
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